デンソー最高裁で逆転勝訴 [CFC税制]

デンソー最高裁で逆転勝訴 タックスヘイブン対策税制の適用可否巡り

24日、最高裁は、名古屋国税局によるデンソーへの約12億円の課税を認めた二審判決を破棄し、この処分を取り消した。

タックスへイブン対策税制

制度趣旨

タックスへイブン(軽課税国)を利用して租税回避を図る行為を排除する制度で、1978年度改正租税特別措置法で規定された。

源泉国での税負担が日本の法人税負担に比べて著しく低い外国子会社等の留保所得を、一定の要件の下、株式の直接・間接所有割合に応じて日本の株主の所得とみなし、それら株主の所得に合算した上で、日本で課税する制度。

現在は、法人所得税が存在しない国・地域、および税額が20%以下の国または地域が対象となっている。

税制の適用

タックスへイブンに本店があり、同族で10%以上株式を所有する会社で、その資本の50%超が日本資本である法人に適用される。

そして、直接・間接の株式(利益配当請求権のない株式を除く)の所有割合に応じて、当該株主の所得と合算して日本で課税される。

適用除外

以下の、適用除外要件の基準を満たせば除外となる。製造業・小売業の場合は①~④、卸売業の場合は①~③と⑤を全て満たす必要がある。

①事業基準
その海外子会社の主たる事業が、株式・債権の保有、工業使用権等の提供、船舶・航空機の貸し付けではないこと

②実体基準
その子会社がオフィス、スタッフ等の事業を行うために必要な実体を備えていること

③管理支配基準
株主総会、取締役会の実施場所や会計帳簿の記帳場所等を総合的に勘案して、その子会社が事業の管理、支配、運営を自ら行っているといえること

④所在地国基準
海外子会社が製造業や小売業の場合、事業の実態を本店所在地国で行っていること

⑤非関連者基準
海外子会社が卸売業の場合、売上または仕入の50%超が資本関係のない非関連者との取引であること

事案の概要

名古屋国税局は、デンソーのシンガポール子会社が、タックスヘイブン対策税制の適用除外要件を満たしていないとして、2008年3月期及び2009年3月期の2年間について、申告漏れ所得金額114億円、追徴税額12億円(地方税等含む)の更正処分下した。

デンソーは、この処分を不服として提訴した。一審・名古屋地裁はデンソーの主張を認め、2009年3月期まで2年間の追徴課税処分を取り消した(子会社の主たる事業は物流改善など、オーストラリア・アジア地域での「地域統括事業」と判断した)。二審・名古屋高裁は「子会社の主な事業は株の保有だ」と判断し、デンソーが敗訴した。

⇒ 争点 子会社の主な事業をどのように判断するか

最高裁判決

「事業基準」の判断基準

対策税制で子会社の「主な事業」が何かを判断する基準について「事業活動の収入や所得、人数、店舗、工場などの状況を総合的に考慮するのが相当」との初判断を示した。

子会社の主たる事業は「地域統括事業」と判断

シンガポール子会社は現地事務所があり、20人以上の従業員が地域統括業務を担当していること。税引き前利益の8~9割は株の配当が占める一方、地域の物流を改善する業務の売上額が収入の約85%に上ったこと。を認定。

⇒東南アジア諸国連合(ASEAN)地域の事業を効率化する目的があり、活動に経済合理性があったと指摘。

⇒「財務や物流改善などの業務は多岐にわたり、相当の規模と実体があった」。

⇒子会社の主たる事業は「地域統括事業」であり、適用除外の要件を満たす。