佐賀銀行窃盗事件、元行員に懲役6年判決確定

佐賀銀行元行員に懲役6年の判決

福岡地裁は16日、福岡市内にある佐賀銀行の支店から、行員の立場を利用して共犯者と現金5430万円を盗んだとして、建造物侵入と窃盗などの罪に問われた元行員(営業支援部調査役、逮捕時42歳)に、懲役6年(求刑懲役10年)の判決を言い渡した。

元行員は、控訴期限だった30日までに控訴せず、懲役6年とした一審福岡地裁判決が確定した。

箱崎支店、干隈支店事件及び元行員による不祥事件について―佐賀銀行ニュースリリース
佐賀銀行の元行員に懲役6年―産経新聞
佐銀支店窃盗、元行員判決確定―佐賀新聞

福岡地判平成29年10月16日

下級裁判所判例集
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87176

認定事実

不正競争防止法違反

<平成29年7月27日付け起訴状記載の公訴事実>

顧客情報「を閲覧する権限を付与され,営業秘密を同社から示されていた者であるが,顧客情報の照会オペレーションは,業務上必要なものに限り,かつ,顧客情報については,みだりにコピーをとってはならない旨の営業秘密の管理に係る任務に背いて,同社のサーバコンピュータにアクセスして,営業支援システムを起動させ,預金額が1億円以上の同社の顧客らを検索するなどし,同顧客らの氏名及び住所等の検索結果を紙面に印字するなどの方法により領得した顧客情報が記載された顧客名簿を,不正の利益を得る目的で,平成28年7月5日頃から同月12日頃までの間に,福岡市a区bc番d号B店において,顧客情報を第三者に開示してはならない旨の営業秘密の管理に係る任務に背き,Cに交付し,もって営業秘密を開示した。」

建造物侵入

<平成29年6月8日付け請求書による訴因等変更後の平成28年12月22日付け起訴状記載の公訴事実>

「D,E,F,G,H及びCと共謀の上,金庫破りの目的で,平成28年8月
8日午後4時41分頃から同日午後5時7分頃までの間に,株式会社A銀行I
支店支店長Jが看守する福岡市a区ef丁目g番h号の株式会社A銀行K支店
に,職員専用出入口の施錠を外して侵入した。」

横領

<平成29年5月2日付け起訴状記載の公訴事実>

「平成28年8月23日,福岡市i区jk丁目l番m号のL3階事務室におい
て,Mから,現金1300万円を株式会社A銀行N支店に開設されたO名義の
普通預金口座に入金するよう委託を受けて受領し,これを前記Mのため預かり
保管中,その頃,同所付近において,自己の用途に費消する目的で着服して横
領した。」

住居侵入,窃盗

<平成28年11月4日付け起訴状記載の公訴事実>

「氏名不詳者らと共謀の上,平成28年10月6日午後10時頃,福岡市i区
no丁目p番q号のA銀行P寮r号のQ方に,金品窃取の目的で,無施錠の出
入口ドアから侵入し,その頃,同所において,同人所有又は管理に係る鍵及び
セキュリティカード等8点在中のナイロンケース1個(時価合計約1210円
相当)を窃取した。」

建造物侵入,窃盗

<平成29年6月8日付け請求書による訴因変更後の同年2月14日付け起訴状記載の公訴事実>

「C,R,H,G及びSと共謀の上,金品窃取の目的で,平成28年10月6
日午後10時36分頃,株式会社A銀行T支店支店長Uが看守する福岡市s区
tu丁目v番w号の株式会社A銀行T支店に,職員専用出入口ドアの施錠を外
して侵入し,その頃,同所において,同人管理に係る現金5430万円を窃取
した。」

量刑理由

「量刑を検討する上で中心となる」侵入して現金を盗んだ事案は,「被害額が5430万円と相当に高額な重大事案である。鍵やセキュリティカード,現金保管用の機器を撮影した映像等を入手し,必要な道具等を用意し,相当額の現金を被害店舗に移動させるなどの準備をした上,相当数の共犯者らが相互に連絡を取り合い,指示役,実行役,見張り役等の役割を分担して実行されている。このように,本件が周到に準備された計画的,組織的犯行であることは明らかといえる。」

被告人は,多額の借金をしていた共犯者Cから脅されるなどしてやむを得ず犯行に関与したもので報酬も一切得ていない旨述べ」ているが,「被告人は,銀行員の地位を利用し,自ら……住居侵入,窃盗の犯行に及んで入手した鍵等や被害銀行の内部情報を共犯者らに提供し,相当額の現金を被害店舗に移動させるなど,不可欠かつ極めて重要な役割を果たしたといえる。」

また、「建造物侵入も同様に計画的,組織的犯行である上に被告人の役割は重
要といえる」。顧客から預かった現金を横領した事案でも「1300万円もの高額の被害が生じている。」「不正競争防止法違反も,被害銀行で最も厳格に管理されていた顧客情報のうち,預金額が1億円以上の顧客らの情報を……共犯者に流出させており,悪用の危険性は高かったといえる。現に預金を引き上げた顧客もいる。これらの各犯行についても,いずれも犯情は悪い。一連の犯行により勤務先の被害銀行が少なからず社会的信用を失ったものとうかがわれる点も看過し難い。以上によれば,被告人の刑事責任は重く,相当期間の実刑は免れない。」

情状酌量

「他方,被告人は最終的には本件各犯行を認めて反省の態度を示している。」「横領につき被害額の一部を事実上返済している。」「不正競争防止法違反はCからの要求に応じた面があることが否定できない。」

「その他,被告人には前科前歴がないこと,母親が出廷して支援を約束したこと,本件により解雇されたこと等の被告人のために酌むべき事情もあるので,これらの各事情を最大限考慮し,刑期については主文のとおり定めることが相当と判断した。」