大田区vs江東区の埋立地帰属争い司法の場へ、都が調停打ち切り

中央防波堤問題、法廷闘争へ(市町村の境界画定の訴え:地方自治法9条9項)


東京湾の埋め立て地について、江東区と大田区が帰属を主張している問題で、13日、東京都は解決の見込みがないとして、調停を打ち切った。都がこれまでに示した調停案も無効となり、闘争は司法の場に移る。

江東区と大田区が帰属を主張している土地は、東京湾の「中央防波堤埋立地」。都が1973年からごみの埋め立て地として造成中で、東京五輪ではボートやカヌー、馬術の競技会場が設けられることになっている。

先月、都の自治紛争処理委員は、江東区に86.2%、大田区に13.8%を帰属させる調停案を示していたが、大田区は、調停案の受け入れを拒否。境界の確定を求めて、江東区を相手取り、訴訟を提起していた(大田区議会10月29日の議決による。提訴は30日付)。

今回の調停の打ち切りは、この提訴を受けて、解決の見込みが無いものと判断された。

地方自治法第9条

第9条
  1. 市町村の境界に関し争論があるときは、都道府県知事は、関係市町村の申請に基づき、これを第251条の2の規定による調停に付することができる
  2. 前項の規定によりすべての関係市町村の申請に基いてなされた調停により市町村の境界が確定しないとき、又は市町村の境界に関し争論がある場合においてすべての関係市町村から裁定を求める旨の申請があるときは、都道府県知事は、関係市町村の境界について裁定することができる
  3. 前項の規定による裁定は、文書を以てこれをし、その理由を附けてこれを関係市町村に交付しなければならない。
  4. 第一項又は第二項の申請については、関係市町村の議会の議決を経なければならない。
  5. 第一項の規定による調停又は第二項の規定による裁定により市町村の境界が確定したときは、都道府県知事は、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならない。
  6. 前項の規定による届出を受理したとき、又は第十項の規定による通知があつたときは、総務大臣は、直ちにその旨を告示するとともに、これを国の関係行政機関の長に通知しなければならない。
  7. 前項の規定による告示があつたときは、関係市町村の境界について第7条第一項又は第三項及び第七項の規定による処分があつたものとみなし、これらの処分の効力は、当該告示により生ずる。
  8. 第二項の規定による都道府県知事の裁定に不服があるときは、関係市町村は、裁定書の交付を受けた日から三十日以内に裁判所に出訴することができる。
  9. 市町村の境界に関し争論がある場合において、都道府県知事が第一項の規定による調停又は第二項の規定による裁定に適しないと認めてその旨を通知したときは、関係市町村は、裁判所に市町村の境界の確定の訴を提起することができる。第一項又は第二項の規定による申請をした日から九十日以内に、第一項の規定による調停に付されないとき、若しくは同項の規定による調停により市町村の境界が確定しないとき、又は第二項の規定による裁定がないときも、また、同様とする。
  10. 前項の規定による訴訟の判決が確定したときは、当該裁判所は、直ちに判決書の写を添えてその旨を総務大臣及び関係のある都道府県知事に通知しなければならない。
  11. 前十項の規定は、政令の定めるところにより、市町村の境界の変更に関し争論がある場合にこれを準用する。

市町村の境界画定の訴え(地方自治法9条9項)の性質

●東京地裁平成18年3月24日判決(住基ネット訴訟)「市町村の境界画定の訴え(地方自治法9条9項)は、地方公共団体が行政権の主体として提起する訴えであり、……『法律上の争訟』に当たらないものの、裁判所が審判することできるものであって、一般に機関訴訟の一例と解されている。」

●同様に機関訴訟と解する見解 = 常岡孝好(座談会「自治権侵害に対する自治体の出訴資格」(兼子仁、阿部泰隆『自治体の出訴権と住基ネット』(信山社、2009年)70頁))。嘉藤亮「機関訴訟」大浜啓吉『自治体訴訟』(早稲田大学出版部、2013年)165頁。

●なお、地方自治法9条9項は裁定や決定を前提としこれを不服として提起するものなので、抗告訴訟当事者訴訟と解する説も有力である(塩野宏「境界に関する法制度上の問題点」『境界紛争とその解決』75頁、同『国と地方公共団体』306頁など)。



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