制度解説―公益通報者保護法

公益通報者保護法の目的・要件

公益通報者保護法の概要

公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇の無効等並びに公益通報に関し事業者及び行政機関がとるべき措置を定めることにより、公益通報者の保護等を図る。

(1)目的

公益通報者の保護を図とともに、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法令の規定の遵守を図り、もって国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資すること

(2)「公益通報」とは

(ⅰ)労働者公務員を含む。)が、(ⅱ)不正の目的でなく、(ⅲ)労務提供先等について(ⅳ)「通報対象事実」が(ⅴ)生じ又は生じようとする旨を、(ⅵ)「通報先」に通報すること

「労働者」には、正社員、派遣労働者、アルバイト、パートタイマーなどが含まれる。
「労務提供先」(労務を提供する事業者)とは
① 事業者において労働契約に基づき働いている一般の労働者(正社員、アルバイト、パートタイマー等)は、その雇用元の事業者
② 派遣労働者の場合は、派遣先の事業者
③ 取引契約に基づいて労務を提供する場合は、取引先の事業者
が「労務提供先」
※事業者には、法人や個人事業者のほか、国、地方公共団体などの行政機関も含まれる。

(3)「通報対象事実」(ⅳ)とは

国民の生命、身体、財産その他の利益の保護にかかわる法律として別表に掲げるものに規定する罪の犯罪行為の事実

② 別表に掲げる法律の規定に基づく処分に違反することが①の事実となる場合における当該処分の理由とされている事実等

(別表)刑法、食品衛生法、金融商品取引法、JAS 法、大気汚染防止法、廃棄物処理法、個人情報保護法、その他政令で定める法律(独占禁止法、道路運送車両法等)

「国民の生命、身体、財産等の保護にかかわる法律」として定められた463本の法律が、通報の対象となる法律。50音順の法律一覧[PDF: 378 KB]―消費者庁
対象となる法令違反行為
①犯罪行為(刑罰規定に違反する行為)
②最終的に刑罰につながる(刑罰規定に違反する)行為
(例:「届出義務」⇒(届出義務違反)⇒「勧告」⇒(勧告違反)⇒「命令」⇒(命令違反)⇒「刑罰」)

(4)「通報先」(ⅵ)と保護要件

事業者内部(内部通報)
:通報対象事実が生じ、又は生じようとしていると思料する場合

② 通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関
:通報対象事実が生じ、又は生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合(*)
事業者外部(通報対象事実の発生又はこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者)
上記(*)及び一定の要件を満たす場合

(「一定の要件」とは次のいずれか1つに該当すること。.事業者内部又は行政機関に公益通報をすれば解雇その他不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある場合 .事業者内部に公益通報をすれば当該通報対象事実に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合 .労務提供先から事業者内部又は行政機関に公益通報をしないことを正当な理由がなくて要求された場合 .書面(紙文書以外に、電子メールなど電子媒体への表示も含まれる。)により事業者内部に公益通報をした日から20日を経過しても、当該対象事実について、当該労務提供先等から調査を行う旨の通知がない場合又は当該労務提供先が正当な理由がなくて調査を行わない場合 .個人の生命又は身体に危害が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合)

行政機関の場合
どの行政機関が「処分等の権限を有する行政機関」に当たるかは、各法令に基づき定まっている。「行政機関」には、各省庁等のほか、都道府県などの地方公共団体も含まれる。検索ページ:公益通報の通報先・相談先 行政機関検索―消費者庁
事業者外部とは、通報の対象となる法令違反の発生や被害の拡大を防止するために必要と認められる者。被害者又は被害を受けるおそれのある者を含む。
例えば、報道機関、消費者団体、事業者団体、労働組合、周辺住民(有害な公害物質が排出されている場合)など様々な主体が該当。ライバル企業など「労務提供先の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある者」は除かれる。

(5)公益通報者の保護

保護要件を満たして「公益通報」した労働者(公益通報者)は、以下の保護を受ける。
① 公益通報をしたことを理由とする解雇の無効・その他不利益な取扱いの禁止
② (公益通報者が派遣労働者である場合)公益通報をしたことを理由とする労働者派遣契約の解除の無効・その他不利益な取扱いの禁止

(6)公益通報者・事業者・行政機関の義務

① 公益通報者が他人の正当な利益等を害さないようにする努力義務
② 公益通報に対して事業者がとった是正措置等を公益通報者に通知する努力義務
③ 公益通報に対して行政機関が必要な調査及び適当な措置をとる義務
④ 誤って通報を受けた行政機関が処分等の権限を有する行政機関を教示する義務

(7)その他

本法は、労働契約法第 16 条(解雇権濫用の法理)など他の法令の適用を妨げない



フォローする