森友学園問題 会計検査院報告書要旨版(全文)Part.1

会計検査院は、平成29年11月22日、国会法第105条の規定による検査要請を受諾した下記の事項について、会計検査院法第30条の3の規定により、検査の結果を報告した。

「学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果について」


【目次と当サイトでのページ分け】

1 検査の背景及び実施状況
2 検査の結果
(1) 大阪府豊中市の国有地の貸付及び売却の経緯
(2) 貸付価格及び売却価格並びに価格算定手続の適正性
(3) 当該国有地の貸付及び売却に関する行政文書の管理状況
3 検査の結果に対する所見

Part.1 → 1
Part.2 → 2のうち(1)
Part.3 → 2のうち(2)
Part.4 → 2のうち(3)
Part.5 → 3


学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果についての報告書(要旨)

平 成 2 9 年 1 1 月
会 計 検 査 院

1 検査の背景及び実施状況

(1) 参議院からの検査要請の内容

学校法人森友学園(以下「森友学園」という。)に対する国有地の売却等に関する次の各事項である。

ア 大阪府豊中市の国有地の貸付及び売却の経緯

イ 貸付価格及び売却価格並びに価格算定手続の適正性

ウ 当該国有地の貸付及び売却に関する行政文書の管理状況

(2) 大阪府豊中市の国有地の概要

本件要請に係る大阪府豊中市の国有地は、豊中市野田町に所在する面積8,770.43㎡の土地(以下「本件土地」という。)であり、国土交通省所管自動車安全特別会計空港整備勘定(平成20年度から25年度までは社会資本整備事業特別会計空港整備勘定、19年度以前は空港整備特別会計。以下「空港整備勘定」という。)に所属している。本件土地は、28年6月20日に森友学園に売却されていたが、買戻権の行使により、29年6月29日に国有地となっている。

豊中市野田町周辺地区は、昭和49年に「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律」(昭和42年法律第110号。以下「騒防法」という。)等に基づき、大阪国際空港周辺における航空機の騒音により生ずる障害が特に著しい区域として指定されており、同周辺地区には、国土交通省(平成13年1月5日以前は運輸省)が、騒防法に基づいて騒音対策として土地の所有者からの申出に応じて買い入れた土地(以下「移転補償跡地」という。)が散在していた。これらの移転補償跡地は、行政目的に直接供用される行政財産として、国土交通省大阪航空局(以下「大阪航空局」という。)が管理していた。そして、航空機のエンジンの低騒音化等により、元年に同周辺地区の指定が解除されたことを受け、大阪航空局は、「大阪国際空港周辺の移転跡地の取り扱いに関する運用方針」(平成2年9月28日付け運輸省航空局環境整備課。以下「運用方針」という。)等に基づき、同周辺地区内の移転補償跡地について、5年に行政財産の用途を廃止し、処分が可能な普通財産に分類変更して大阪航空局が引き続き管理していた。その後、豊中市野田町では、8年度から21年度にかけて豊中市が野田土地区画整理事業(以下「野田区画整理事業」という。)を施行していた。本件土地は、野田区画整理事業の施行区域(以下「野田地区」という。)内に散在していた上記の大阪航空局が管理していた移転補償跡地のうち213筆、21,606.95㎡に代えて、17年6月に大阪航空局が換地処分により取得した土地18,262.85㎡の一部である。

その後25年に、大阪航空局は、「各省各庁所管特別会計所属普通財産の処分等に係る事務取扱要領について」(平成23年財理第3002号。以下「委任要領」という。)に基づき、財務省近畿財務局(以下「近畿財務局」という。)に対し本件土地の売払処分を依頼していた。近畿財務局は、この依頼を受けて、25年6月に大阪府及び豊中市に対して取得等要望の有無を確認するとともに、ホームページ上で、公用・公共用利用のための取得等要望を受ける財産として公表したところ、同年9月に森友学園から小学校用地としての取得等要望書が提出された。そして、近畿財務局は、27年5月に買受特約を付した貸付期間10年間の定期借地権を設定する国有財産有償貸付合意書(以下「貸付合意書」という。)等を森友学園と締結した。貸付合意書では、24年までに行われた土壌汚染等に係る複数回の調査で判明した土壌汚染及び地下埋設物の撤去を森友学園が行うこと、森友学園が土壌汚染及び地下埋設物の撤去を実施して、これにより本件土地の価値が増加した場合の撤去費用は、有益費として、森友学園が支出した(注1)費用のうち国と森友学園が合意した額又は財産価格増加額のいずれかを国が選択の上、森友学園へ返還することなどが定められている。そして、27年6月から同年12月までの間に森友学園が土壌改良工事等を実施したことから、近畿財務局、森友学園及び大阪航空局の三者による合意に基づき、大阪航空局は、28年4月に当該工事等に係る有益費として空港整備勘定から1億3176万円を森友学園へ支払っていた。

28年3月に、森友学園から近畿財務局に対して、貸付合意書で対象としていた地下埋設物に該当しない新たな地下埋設物が小学校建設工事中に発見された旨の連絡があり、また、同月、森友学園から本件土地を購入したい旨の提案があった。これを受け、近畿財務局は大阪航空局に対して、本件土地の売却価格の算定のために、地下埋設物の撤去・処分費用についての見積りの依頼を行い、大阪航空局は、同年4月に当該費用を8億1974万余円とする見積りを近畿財務局へ提出した。近畿財務局は、上記の撤去・処分費用を考慮することなどを条件とした鑑定評価業務を不動産鑑定業者に委託するなどして算定した1億3400万円を売却価格として、同年6月20日に本件土地を森友学園へ売却していた。

(注1) 有益費 他人の物を占有する者がその物の改良を行うために支出した費用等その物の価値を増加するために支出した費用

(3) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

ア 検査の観点及び着眼点

会計検査院は、財務省及び国土交通省が実施した森友学園に対する国有地の売却等について、正確性、合規性、経済性等の観点から、次の点に着眼して検査を実施した。

(ア) 大阪府豊中市の国有地の貸付及び売却の経緯

① 移転補償跡地の取得や換地処分を受ける際に、地下埋設物等の確認は適切に行われているか、野田区画整理事業における換地処分は適切に行われているか、国有財産台帳への記載等は適切に行われているか。

② 大阪航空局から近畿財務局への事務委任、公用・公共用の取得等要望の受付、予定価格の作成、貸付け及び売買契約の締結、有益費の支払、地下埋設物等の確認、延納に係る審査・担保権の設定、売払い結果の公表等は法令等に基づいて適切に行われているか。

③ サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)(以下「サステナブル事業」という。)の補助金の申請、交付及び審査は適切に行われているか。

(イ) 貸付価格及び売却価格並びに価格算定手続の適正性

① 貸付価格及び売却価格は法令等に基づき適切に算定されているか。特に、新たに発見されたとされている地下埋設物の撤去費用は適正な手続に従い適切に算定されているか。

② 契約相手方との見積合わせは法令等に基づき適切に行われているか。

③ 有益費の対象となった工事内容及び費用の検証は適切に行われているか、土地の価値の増加額は適切に算定されているか。有益費として支払われた額は適切に算定されているか。

(ウ) 当該国有地の貸付及び売却に関する行政文書の管理状況

本件土地の貸付け又は売払いに係る会計経理の妥当性の検証に必要な資料は法令等に基づき適切に作成され、保存されているか。

イ 検査の対象及び方法

会計検査院は、森友学園に対する本件土地の貸付け、有益費の支払、売却等について、財務本省、国土交通本省、3財務局(注2)、大阪航空局、一般社団法人木を活かす建築推進協議会(以下「木活協」という。)等において、114人日を要して会計実地検査を行った。

検査の実施に当たっては、主に、近畿財務局、大阪航空局及び木活協において、決裁文書、各種報告等の関係書類の提出を受け、その内容を確認するとともに、財務本省及び近畿財務局の文書管理の状況についてデータが保存されているシステムの仕様等を確認したり、本件土地の現況を確認したりするなどして検査した。また、財務本省及び3財務局において、本件土地と類似の事例との売却手続等の比較を行うとともに、近畿財務局管内の6財務事務所等(注3)からも調書を徴するなどして同様の比較を行った。さらに、会計検査院法第28条の規定により、工事関係者等から資料の提出等を受けるなどして調査した。

(注2) 3財務局 関東、東海、近畿各財務局

(注3) 6財務事務所等 大津、京都、神戸、奈良、和歌山各財務事務所、舞鶴出張所

森友学園問題 会計検査院報告書要旨版(全文)Part.2
会計検査院は、平成29年11月22日、国会法第105条の規定による検査要請を受諾した下記の事項について、会計検査院法第3...



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