森友学園問題 会計検査院報告書要旨版(全文)Part.2

会計検査院は、平成29年11月22日、国会法第105条の規定による検査要請を受諾した下記の事項について、会計検査院法第30条の3の規定により、検査の結果を報告した。

「学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果について」


【目次と当サイトでのページ分け】

1 検査の背景及び実施状況
2 検査の結果
(1) 大阪府豊中市の国有地の貸付及び売却の経緯
(2) 貸付価格及び売却価格並びに価格算定手続の適正性
(3) 当該国有地の貸付及び売却に関する行政文書の管理状況
3 検査の結果に対する所見

Part.1 → 1
Part.2 → 2のうち(1)
Part.3 → 2のうち(2)
Part.4 → 2のうち(3)
Part.5 → 3


目次

学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果についての報告書(要旨)

平 成 2 9 年 1 1 月

会 計 検 査 院

2.検査の結果

(1) 大阪府豊中市の国有地の貸付及び売却の経緯

ア 本件土地の来歴

(ア) 本件土地の周辺地域

本件土地を含む野田町周辺地区は、騒防法等に基づき、昭和49年以降、航空機の騒音の障害に応じて第2種区域の指定を受けていた。そして、大阪航空局は、(注4)騒防法に基づき、第2種区域及び第3種区域の指定を受けた区域において、航空機の騒音により生ずる障害の防止、航空機の離着陸の頻繁な実施により生ずる損失の補償等のため、土地の所有者からの申出に応じて土地の買入れを実施して、買い入れた土地を行政財産として管理していた。

(注4) 第2種区域 航空機の騒音により生ずる障害が著しいと認めて国土交通大臣が指定する区域を第1種区域といい、第1種区域のうち、航空機の騒音による障害が特に著しいと認めて国土交通大臣の定める区域を第2種区域という。また、第2種区域のうち、新たに航空機の騒音による障害が発生することを防止し、生活環境の改善に資する必要があると認めて国土交通大臣が指定する区域を第3種区域という。

(イ) 大阪航空局における移転補償による土地の買入れ

上記土地の買入れについて、大阪航空局は、「国土交通大臣の設置する特定飛行場周辺の移転補償等実施要領」(昭和46年空管第2号)等に基づき実施していたとしている。そして、大阪航空局は、引渡しを受ける土地における地下埋設物等の調査については、①土地買入金等の額の算定に係る地下埋設物に関する規定は特にないこと、②移転補償跡地は、大阪航空局が原則として更地のまま管理することとしており、また、特定の利用用途を定めていないなど、地下埋設物があっても特にその後の管理に影響を及ぼさないことなどの理由により、行っていなかったとしている。

(ウ) 移転補償跡地の処分

平成元年3月31日から第2種区域の指定を受けていた区域が大幅に縮小された。そして、大阪航空局は、運用方針等に基づき、第2種区域の指定が解除された区域にある移転補償跡地について、行政財産から普通財産へ分類変更し、原則として有償貸付け又は売払いを行っていた。

(エ) 野田区画整理事業による換地

野田町周辺地区は、昭和49年の第2種区域の指定以降、移転補償により空地化が進んでいたことから、豊中市は、自らが施行者となって、公共施設の整備改善、国有地の集約化等による土地の再編を行い、土地の高度利用を図ることなどを目的として、野田区画整理事業を平成8年6月28日から22年3月31日までの間に施行していた。大阪航空局が野田区画整理事業により17年6月28日に換地を受けた土地は、本件土地を含む2筆計18,262.85㎡(以下「換地後の土地」という。)となっていた。そして、換地後の土地においては、従前豊中市が所有していた道路用地の舗装、道路の地下に埋設された上下水管やガス管、また、過去に豊中市が大阪航空局より移転補償跡地を無償で借り受けて整備した児童遊園内のコンクリート構造物等(以下、これらを合わせて「地下構造物等」という。)が残置されたままとなっていた。しかし、地下構造物等が残置されたまま換地が行われたことなどに係る正確な経緯については、確認することができなかった。

(オ) 換地後の土地の処分

野田区画整理事業の事業計画における土地利用計画等によれば、豊中市は、換地後の土地を全て公園として整備する計画としていた。そして、大阪航空局は、19年10月23日に豊中市に対し「売払処分予定国有地の買受要望の調査について」を発出した。しかし、豊中市は、財政状況が厳しいことなどの理由により換地後の土地を全て買い取ることが困難であるとして、20年3月28日に換地後の土地のうちの半分程度の面積となる東側の9,492.42㎡(以下「公園用地」という。)について買受けを要望する旨の回答を大阪航空局へ送付していた。

(カ) 土地の履歴及び地下構造物の調査

大阪航空局は、換地後の土地に関し、その処分を近畿財務局へ依頼するためには、換地後の土地における瑕疵等を明らかにすることが必要であるとして、21年7月に「大阪国際空港豊中市場外用地(野田地区)土地履歴等調査」を、同年10月に「大阪国際空港豊中市場外用地(野田地区)地下構造物状況調査業務」(以下「地下構造物調査」という。)を実施していた。その結果、換地後の土地について、汚染された土壌が存在するおそれはないと評価されるとともに、地下埋設物として地下構造物等及び廃材、廃プラスチック、陶器片、生活用品等のごみ(以下「廃材等」という。)が土砂と混ざった状態の土(以下「廃棄物混合土」という。)が確認されていた。

(キ) 公園用地の豊中市への売却

豊中市は、21年9月11日に、公園用地の買受けを要望するとした普通財産買受要望書を大阪航空局へ提出していた。これを受けた大阪航空局は、同月15日に近畿財務局へ公園用地に係る売払処分依頼を行った。処分依頼を受けた近畿財務局は、21年12月に不動産鑑定業者へ公園用地の不動産鑑定評価を委託し、その結果を受けて評価調書を作成して、22年2月24日に豊中市と見積合わせを実施していた。その結果、近畿財務局は、同年3月10日に地下埋設物が存在することを買受人である豊中市が了承したとする特約条項を付して瑕疵を明示した国有財産売買契約により、公園用地9,492.42㎡を豊中市に14億2386万余円で売却していた。このため、換地後の土地のうち本件土地8,770.43㎡が大阪航空局に残されることになった。本件土地に残置されている地下構造物等の取扱いについて、公園用地の売却時期や豊中市から本件土地の取得等要望は無いとする回答を受けた時期等に、大阪航空局と豊中市の間で協議等が行われたかどうか両者に確認したところ、協議を行ったとする記録等はなく、事実関係を確認することができなかった。

(ク) 公園用地に係る土壌汚染

豊中市は、売買契約書に公園用地に廃棄物混合土を含む地下埋設物等があることが明示されていたことなどから、22年11月に調査会社へ発注して公園用地における土壌汚染等の調査を実施していた。調査の結果、土壌汚染が確認されたため、豊中市は、23年3月23日に近畿財務局に土壌汚染対策により増額した費用負担について、協議申入れの事前通知を行っていた。そして、公園整備後の27年3月4日に、豊中市は、土壌汚染対策費用の負担について、近畿財務局及び大阪航空局に協議の申入れを行っていた。協議の結果、同月13日に近畿財務局、豊中市及び大阪航空局は、公園用地に係る瑕疵担保の処理についての合意書を締結し、この合意書に基づき、大阪航空局は同月26日に賠償金として2328万余円を豊中市へ支払っていた。

(ケ) 土壌汚染等状況調査

公園用地において土壌汚染が確認されたことから、大阪航空局は、本件土地についても23年9月に「大阪国際空港場外用地(OA301)土壌汚染概況調査業務」を、同年12月に「大阪国際空港場外用地(OA301)土壌汚染深度方向調査業務」を実施した結果、2か所において砒素及びその化合物の溶出量基準に不適合、3か所において鉛及びその化合物の含有量基準に不適合、計5か所において土壌汚染が見受けられるとされた。そして、基準に不適合な5か所において、汚染深さが地下1mから3mまでの層にあるとし、その除去の方法については、対象土量が比較的少ないことから掘削による除去が適しているとされていた。

(コ) 本件土地の最初の処分手続

大阪航空局は、24年1月20日に森友学園とは別の学校法人から提出された買受要望書を受理したことから、委任要領に基づき、同年3月13日に本件土地に係る売払処分依頼を近畿財務局へ行っていた。しかし、同学校法人は、経済状況の悪化による学生の減少等を踏まえて、24年7月25日に買受要望を取り下げており、これを受けて大阪航空局は、同年8月7日に近畿財務局への本件土地の売払処分依頼を取り下げていた。

(サ) 移転補償跡地等の管理及び新関空会社への承継

24年7月1日に関西国際空港と大阪国際空港が経営統合されることとなり、国土交通大臣の所管に属する土地等のうち国土交通大臣が財務大臣に協議して指定するものに関する権利及び義務については、新関西国際空港株式会社(以下「新関空会社」という。)へ承継されることとなった。そして、「新関西国際空港株式会社が承継する権利及び義務にかかる指定について」(平成24年国官会第606号国土交通大臣通知。以下「承継指定通知」という。)によれば、大阪航空局が管理していた大阪国際空港に係る移転補償跡地等は、新関空会社へ承継することとされている。しかし、本件土地については、上記のとおり、「関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律」(平成23年法律第54号)が施行される前から、売却に係る協議等が進められていたことから、例外的に新関空会社に対して承継させずに、国が引き続き保有し、処分の手続を進めることとしていたため、承継指定通知において、承継する権利及び義務として指定されていなかった。

イ 本件土地の森友学園への処分に係る会計事務の委任状況

本件土地の売払いなどの処分に関する契約事務は、国土交通大臣から近畿財務局長に委任されており、委任事務の範囲は、委任要領に明記されている事務のほか、契約に関する事務の対象となる事務について、委任者と受任者の間で協議を行い、有益費の支払を大阪航空局長が行うことなどを決定し、会計行為を実施していた。

ウ 本件土地に係る処分等相手方の決定手続等

(ア) 取得等要望の受付、審査等

近畿財務局長が、25年4月30日に大阪航空局長から本件土地の処分依頼を受けたことから、近畿財務局は、同年6月3日から3か月間ホームページで取得等要望を受け付けるなどしていた。そして、同年9月2日に森友学園から小学校用地としての取得等要望書が提出され、審査等を行い、27年2月20日に処分等相手方を森友学園に決定していた。この間に近畿財務局は、大阪府に対し、小学校設立の認可等に関する照会を行うなどしていた。この審査等の間に、森友学園は、本件土地の一部について、26年10月21日から31日まで一時貸付けを受け、小学校校舎等の設計等のための地盤調査を実施していた。

(イ) 国有財産近畿地方審議会への諮問

近畿財務局は、27年2月2日に国有財産近畿地方審議会に対して、本件土地を小学校敷地として森友学園に貸付け及び売払いを行うことを諮問していた。そして、同月10日の第123回国有財産近畿地方審議会において、森友学園が大阪府から小学校設置の正式認可を得られることを条件として、貸付け及び売払いを行うことは適当であるとする答申が近畿財務局に対して行われていた。

エ 本件土地の貸付けの経緯

(ア) 貸付合意書等の締結手続等

近畿財務局は、本件土地の取得に当たり当初の8年間は本件土地の貸付けを受けたいとの森友学園の要望を受け、①森友学園が3年以内に購入することが困難であること、②定期借地とすることにより10年間をもって確実に契約期間を終了させ、将来的な売払いを確実に担保することなどを理由として、27年2月4日に「普通財産貸付事務処理要領」(平成13年財理第1308号。以下「貸付要領」という。)により処理することが適当ではないと認められる場合に理財局長の承認を得て行う別途処理(以下「特例処理」という。)の承認申請を行い、同年4月30日に財務本省の承認を得て、同年5月29日に、森友学園と、売払い前提の10年間の定期借地権を設定する貸付合意書を締結していた。なお、24年度から28年度までの間に3財務局及び6財務事務所等が公共随契により売払いを行った契約118件についてみたところ、売払い前提の定期借地とする特例処理を行った事例は本件以外に見受けられなかった。近畿財務局は、特例処理により定期借地とすることに伴い、「社会福祉施設等の整備を目的とした社会福祉法人等に対する定期借地権の設定について」(平成23年財理第1539号)を準用して公租公課相当額が控除されて貸付料予定価格が低額となることを考慮せずに特例処理の承認申請を行っており、また、財務本省は、申請に対する検証が十分ではないものとなっており、いずれも慎重な検討を欠いていたと認められる。近畿財務局と森友学園は、借地借家法(平成3年法律第90号)に基づき、27年6月8日に貸付合意書と同内容の公正証書を作成していた。近畿財務局は、貸付合意書において、指定期日である28年3月31日までに小学校敷地に供さなければならないなどとした内容の用途指定の特約条項を付していた。なお、近畿財務局は、名神高速道路からの雨水が本件土地に流入していたことなどを踏まえ、28年3月10日に指定期日を29年3月31日とする変更を認めていた。本件土地には、土壌汚染や地下埋設物等の存在が判明していることから、貸付合意書において、森友学園が地下埋設物等を撤去した場合には、有益費として、その費用を国が負担することとしていた。そして、有益費は、森友学園が支出した費用のうち国の基準による検証を踏まえて森友学園と合意した額又は貸付財産価格の増加額のいずれかを国が選択の上、森友学園へ返還することとしていた。

なお、有益費の返還に当たり、森友学園と合意した額又は貸付財産価格の増加額のいずれを有益費とするかは国が選択できるが、経済性を考慮してより低額となる方を選択する方が国に有利となる。近畿財務局によれば、撤去費用を必要費として処理せざるを得ない可能性があったことから、撤去費用は有益費として処理するものの、当該有益費は、予算措置ができれば早期に支払う意向を森友学園に示しており、実際に、契約終了時よりも早い時期に有益費を支払ったとしている。

また、貸付財産価格の増加額は、国の基準による鑑定評価方法によって定めることとされているが、近畿財務局によれば、貸付財産価格の増加額を算定する基準等を定めた規定はないとしている。貸付契約後、森友学園は、貸付料について、2回支払を延滞していた。なお、延滞の理由は、国に早期の有益費の支払を求めて意図的になされたものであるとしている。

(イ) 有益費

27年5月29日に本件土地の貸付けを受けた森友学園は、(仮称)森友学園小学校新築工事に伴う土壌改良他工事及び(仮称)森友学園小学校新築工事に伴う敷地南側地中埋設物撤去工事(以下、これらを合わせて「対策工事」という。)を同年6月30日から12月15日までの間に実施していた。対策工事の報告書によれば、対策工事では、汚染された土壌及び地下構造物等を撤去したとしている。しかし、同報告書によると廃棄物混合土の処分量(以下「処分量」という。)は9.29tにとどまっており、廃棄物混合土はほとんど撤去していなかったと思料される。そして、対策工事が終了した後の28年2月18日に森友学園は、近畿財務局及び大阪航空局へ貸付合意書第6条第6項に基づく有益費に関する領収書等の資料を提出していた。また、森友学園は、対策工事で支出したとする費用計131,760,000円について、同条第2項に基づき国が返還する有益費の金額の検討を願い出ていた。そして、近畿財務局は、同月25日に森友学園へ返還する有益費に関して大阪航空局へ意見照会を行っていた。これを受けて大阪航空局は、国が森友学園に返還する有益費について検証を行い、①対策工事が本件土地の価値を向上させる内容であるため、国において適正と認められた金額については、森友学園へ償還する義務が生ずる、②対策工事に要した費用(以下「対策費用」という。)は妥当であるとし、対策費用と本件土地の価値の増加額を比較した結果、対策費用の方が安価であるためこれを有益費とする、としていた。そして、大阪航空局は、これらの意見を同年3月8日に近畿財務局へ回答していた。

近畿財務局は、大阪航空局から上記の回答を得て、同月30日に近畿財務局と森友学園において有益費として合意した額を131,760,000円と定めること、合意した金額を大阪航空局が自らの予算において森友学園へ支払うことなどについて、近畿財務局、森友学園及び大阪航空局の3者において合意し、合意書を締結し、この合意書等に基づき、大阪航空局は、同年4月6日に同額を森友学園へ支払っていた。

なお、近畿財務局は、当該回答の内容については、計数の確認等を行ったにとどまり、本件土地の価値の増加額の算定根拠等の詳細な確認等までは行わなかったとしている。

また、有益費の確認及び支払に当たり、合意書において森友学園と有益費を131,760,000円と定めることに合意した近畿財務局と、有益費の支払のため支出負担行為決議及び支出決定決議を行った大阪航空局の間において、有益費の確認、支払等に関する責任の所在等をどのように取り決めていたのか、保存されている行政文書では確認することができなかった。

オ 本件土地の売払いの経緯

(ア) 新たな地下埋設物

森友学園は、28年3月11日に、近畿財務局に対して、貸付合意書で対象としていた地下埋設物に該当しない新たな地下埋設物が発見されたと連絡していた。近畿財務局及び大阪航空局は、同月14日に現地確認を行った。また、近畿財務局は、同月30日に、新たな地下埋設物の確認のため小学校校舎の建設工事の工事業者(以下「校舎建設工事業者」という。)が試掘した箇所について現地で確認し、廃棄物混合土があったことを確認したとしている。さらに、近畿財務局と大阪航空局は、同年4月5日に現地の確認を行っており、その際、大阪航空局は、校舎建設工事業者が地下1.6mから4mまで新たに試掘した8か所について確認し、廃棄物混合土があったことを確認したとしている。

そして、近畿財務局は、27年11月24日の対策工事の現場確認時点では、本件土地の地表面には陶器片やガラス片等しか見受けられなかったことから、今回確認された廃棄物混合土は、貸付合意書で対象としていた地下埋設物に該当しない、地下3m以深にある新たな地下埋設物であると判断したとしている。

また、大阪航空局は、杭工事の施工写真により、廃棄物混合土が排出されていたり、廃材等が掘削機の先端に付着していたりしていることなどを確認したとしている。そして、大阪航空局は、①今回確認した廃棄物混合土は、長さ9.9mの杭工事の過程で発見されたものであること、②新たに試掘した箇所において地下3.8mの地点に廃棄物混合土が見受けられたこと、③21年10月の地下構造物調査では、地下3m程度までに確認されたと記載されているが、この基となる一部の試掘データには地下3.3mまで廃棄物混合土が確認されていたこと、④本件土地は、昭和40年代初頭まで池沼であり、埋立てにより造成された土地であることなどから、今回確認した廃棄物混合土は、新たな地下埋設物であると判断したとしている。

(イ) 森友学園からの購入要望

本件土地について、平成28年3月14日の現地確認後、近畿財務局は、大阪航空局と協議を開始するとともに、財務本省にも現地確認の状況等を報告しており、同月15日に、財務本省は森友学園から地下埋設物の撤去等に関する要請を受けた。その後、同月24日に森友学園からの購入要望があったとされている。そして、近畿財務局は、森友学園の要望に応じ、本件土地を売却する方向で事務を進めたとし、詳細な日付等は不明であるものの森友学園側と数回やり取りをしたとしているが、具体的な資料はなく、その内容は確認することができなかった。また、近畿財務局は、森友学園から損害賠償請求を受ける可能性があったことなどを踏まえて、既に締結済の売買予約契約で定めた売買契約書に、本件土地に関する「一切の瑕疵について、瑕疵担保責任を免除する」旨を新たな特約条項として契約内容に加えるために、売買予約の予約完結権の行使ではなく、新たな売買契約の締結として整理することとしたとしている。なお、財務本省は、把握している範囲では同様の特約条項を付した事例はないとしている。

(ウ) 本件土地の売却における地下埋設物の取扱い

近畿財務局長は、森友学園からの購入要望を受けて、28年3月30日に、本件土地を所管し、専門的知見を有するとして、大阪航空局に地下埋設物の撤去・処分費用について見積もることなどを依頼した。大阪航空局は、見積りに当たり、客観的な判断をするために必要な森友学園側の工事関係者が所有する地下埋設物等に関する工事関係資料を提供することを依頼するよう近畿財務局に求めた。これを受けて、近畿財務局が工事関係者に資料の提供を依頼し、大阪航空局は、工事関係者から提供を受けた資料等も用いて見積りを行った。そして、大阪航空局は、4月14日に、近畿財務局に対して売払処分依頼を行うとともに、「不動産鑑定評価について(依頼)」を提出して地下埋設物撤去・処分概算額及び軟弱地盤対策費を本件土地の不動産鑑定評価に反映することを求めた。

(エ) 売買契約の内容

近畿財務局は、本件土地を森友学園に売り払うため、森友学園との間で、21年度の地下構造物調査報告書等に記載された地下埋設物等の瑕疵の存在を了承した上で土地を買い受けるとした条項及び売買物件に関する一切の瑕疵について国の瑕疵担保責任を免除するなどとした特約条項を付した売買契約を28年6月20日に締結するなどしていた。当該売買契約において、近畿財務局は、森友学園が指定期日までに指定用途に供さなかったときは本件土地の買戻しをすることができる特約条項や、森友学園に対して違約金を支払わせる特約条項も付していた。なお、近畿財務局は、当該売買契約により、大阪航空局が算定した地下埋設物撤去・処分費用を踏まえた時価で本件土地を売却したことから、実際の撤去状況及び撤去費用の確認並びに事後的な精算を行う必要はないなどとしている。

(オ) 延納の特約

森友学園は、28年6月9日に近畿財務局に対して期間10年での延納の申請を行った。近畿財務局は、本件土地の貸付申請時に、大阪府が小学校設置の認可に当たり活用した財務諸表、収支計画、借入返済計画及びこれらの根拠資料の提出を森友学園から受けており、延納申請の際にも、最新の財務諸表、収支計画及び借入返済計画の提出を受けて検証を行い、売払代金を一時に納付することの困難性、延納代金の納付の確実性があったとして延納を認めていた。しかし、収支計画をみると、27年度の営業収支の中に貸付合意書締結時の契約保証金が支出として計上されておらず、資料の記載に不備が見受けられた。キャッシュフローベースで示されている借入返済計画をみると、貸付申請時の計画ではプラスであった法人全体の最終的な次年度繰越額がマイナスとなっているのに、近畿財務局は、森友学園に対して、変更された内容等について確認していなかった。また、借入返済計画における小学校建設工事費等については、見込額でしかない貸付申請時と異なり、延納申請時には既に着工済みであることを近畿財務局は把握していたことから、契約書等の根拠資料を徴するなどして実際の建設工事費を確認すれば計画の妥当性をより正確に検証できた可能性があるのに、近畿財務局はこれを行っていなかった。

近畿財務局は、延納に当たり、本件土地の売払代金の8割の金額1億0720万円が、延納代金と1年分の利息との合計額1億0719万余円を上回ることから、本件土地に抵当権者を国土交通省とする抵当権を設定していた。

なお、24年度から28年度までの間に3財務局及び6財務事務所等において、一般会計及び空港整備勘定所属の普通財産を公共随契により売却を行った契約96件についてみたところ、本件以外に延納の特約を付して売却した事例は見受けられなかった。

(カ) 売払い結果の公表

財務省は、会計法(昭和22年法律第35号)第29条の3第5項及び予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号。以下「予決令」という。)第99条第21号の規定に基づき、公共用、公用又は公益事業の用に供するために必要な物件を直接に地方公共団体又は事業者に売り払うなどの場合等に該当する随意契約(以下、この場合による随意契約を「公共随契」という。)により売払いをした財産にあっては契約金額等を、契約後原則として1か月以内に財務局等のホームページに公表することとしている。本件の公表に当たり、近畿財務局は、森友学園が以前から契約金額等について非公表としたい旨を要請していたことから、売買契約締結時に確認したところ、森友学園から、風評リスクが懸念されるので、契約金額を公表しないよう要請があったとして、契約後1か月を経過しても契約金額を公表していなかった。

また、25年度から28年度までの間において、3財務局及び6財務事務所等が公共随契により売払いを行った契約104件についてみたところ、契約金額を非公表にした事例は本件以外になかったが、関東財務局において公共随契により売払いを行った契約の中で契約した事実そのものを公表していない事例が2件見受けられた。そして、財務本省で確認したところ、上記以外に、同様に公共随契により売払いを行った契約の中で契約した事実そのものを公表していない事例が3件見受けられた。

カ 買戻権の行使等

森友学園は、29年3月10日に小学校設置認可の申請を取り下げ、4月21日に民事再生法(平成11年法律第225号)に基づく再生手続の開始を申し立て、同月28日に再生手続の開始が決定されて管財人が選任された。近畿財務局は、6月29日に買戻権を行使して所有権移転の登記手続を行い、7月12日に本件土地を原状に回復して国に返還するよう求めることを森友学園に通知した。また、国土交通省及び近畿財務局は、森友学園の再生手続に伴う再生債権の届出に当たり、国が森友学園に対して有する債権である有益費過払分等と、国が森友学園に対して負う債務である本件土地の買戻しに伴い返還する納付済みの売払代金とを相殺し、相殺した後の差額8,636,327円及び再生手続開始後の延滞金等1,213,311円並びに本件土地の返還に係る原状回復請求権985,540,826円を再生債権として裁判所に届け出ていた。そして、10月10日に、管財人から再生計画案が裁判所へ提出されている。

キ サステナブル事業

(ア) サステナブル事業への応募

森友学園は、本件土地に小学校を設置するに当たり、防火地域に新築される小学校校舎及び体育館の木質化について、27年度から28年度にかけて事業費21億8000万円で実施するとした事業計画を策定して、サステナブル事業に応募していた。これに対し国土交通省は、審査の結果、27年9月4日に、補助限度額61,944,000円として事業採択を行い、森友学園へ採択の結果の通知を行っていた。

(イ) 27年度補助金の交付申請等

サステナブル事業の採択を受けて森友学園は、「平成27年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)補助金交付規程」(以下「補助金交付規程」とい。)等に基づき、27年10月2日に、小学校の建設に係る費用内訳書等を添付して、27年度分の工事の予定出来高を90%として補助金申請額を56,448,000円として補助金交付申請書を木活協に提出していた。交付申請書の提出を受けた木活協は、申請内容に不備がないとして、同月8日に、森友学園に対し、同額の補助金額で交付決定を行っていた。

森友学園は、採択に係る審査において、28年1月に本体工事着工、予定工期が11か月の予定と回答していた。このため、本体工事着工の3か月後の27年度末に工事の予定出来高を90%とすることは困難な状況となっていた。しかし、木活協は、サステナブル事業の実施者が交付申請年度末までに出来高を踏まえて業者への支払に必要とする費用についても出来高相当とみなす運用をしていたことから、交付申請どおりに交付決定していた。また、木活協は、交付申請書の審査に当たり、年度計画について、森友学園が27年度末までに必要とする費用に関する資料を徴取して確認するなどの十分な審査を行っていなかった。

(ウ) 27年度実績報告及び補助金の交付

木活協から補助金の交付決定を受けた森友学園は、27年12月3日に校舎建設工事業者と契約を締結し、小学校校舎の建設工事に着手していた。そして、28年3月15日に中間実績報告書を木活協へ提出し、併せて交付決定を受けた補助金56,448,000円のうち48,298,000円(約85.5%)を請求していた。中間実績報告書の提出を受けた木活協は、不備がないとして同額の補助金を同月22日に森友学園へ交付していた。

また、森友学園は、補助金交付規程等に基づき、29年1月20日に、27年度分の実績報告書を木活協へ提出し、併せて27年度分の補助金残額8,150,000円の請求を行っていた。これを受けた木活協は、同日に27年度分の補助金について額の確定を行い、同年2月21日に請求額と同額の8,150,000円の補助金を森友学園へ交付していた。

しかし、補助金交付規程によれば、補助金の支払は、実績報告書の提出を受け、交付すべき補助金の額を確定した後に支払われるものとするとされているが、木活協は額の確定を行わずに、森友学園から提出された中間実績報告書に基づき、28年3月に森友学園に48,298,000円の補助金を交付していた。このように、木活協が補助金交付規程に定める手続に基づかずに補助金を交付していたことは適切を欠くと認められる。

なお、補助金の交付に当たり、木活協は、募集要領及び補助金交付規程において、支払実績を確認するための資料を提出させることとなっていなかったことなどから、森友学園から領収書の写しを提出させるなどしておらず、校舎建設工事業者への支払状況については、契約書や口頭による聞き取りなどにより確認したとしている。

(エ) 28年度補助金の交付申請等

森友学園は、補助限度額61,944,000円から27年度交付決定額56,448,000円を除いた残りの5,496,000円について、28年度分の補助金交付申請書を、28年4月1日に木活協へ提出しており、同日付けで木活協から同額の補助金の交付決定を受けていた。

(オ) 事業の中止及び補助金の返還

森友学園は、29年3月16日に、小学校の設置認可申請取下げを理由に事業の中止承認書を木活協へ提出しており、これを受けた木活協は、同月21日付けで事業の中止を承認していた。そして、森友学園が事業を中止したことから、木活協は、27年度分の補助金について、補助金交付規程等に基づき、交付決定の取消しを行うとともに、森友学園へ補助金の返還命令を行っており、これを受けた森友学園は、同月28日に交付を受けていた補助金額の全額56,448,000円を返還していた。

なお、国土交通省によれば、(イ)及び(ウ)の事態については、森友学園に限らず、サステナブル事業を実施した他の事業者においても同様の事態が見受けられているとしている。

ク 移転補償跡地に係る国有財産台帳

大阪航空局は、移転補償跡地について、国有財産法(昭和23年法律第73号)第32条の規定等に基づき、行政財産として国有財産台帳に記載していた。元年3月31日に大阪国際空港の周辺地域における第2種区域が大幅に縮小されたことから、大阪航空局は、第2種区域から外れた移転補償跡地について、順次用途廃止を行い、行政財産から普通財産へ分類変更し、普通財産として国有財産台帳に記載していた。本件土地に係る野田地区の移転補償跡地については、5年1月29日に行政財産から普通財産へ分類変更しており、同日付けで普通財産として国有財産台帳に記載していた。そして、11年11月から15年2月までの仮換地後の土地の売却、17年6月の換地処分、22年3月の豊中市への公園用地の売払について、それぞれ国有財産台帳から数量及び価格が増減されていたが、仮換地後の土地の売却において、国有財産台帳から減とする数量又は異動年月日を誤って記載している事態が見受けられた。また、新関空会社へ出資された移転補償跡地についても、出資が行われた24年7月に国有財産台帳から数量及び価格が減とされていた。

そして、本件土地については、28年6月20日に森友学園へ売却されたことから国有財産台帳において、同日を異動年月日として数量及び価格が減とされていた。また、買戻権の行使により大阪航空局所管の土地となったため、所有権移転の登記が29年6月29日に行われ、同日を異動年月日として国有財産台帳へ新たに記録されている。

森友学園問題 会計検査院報告書要旨版(全文)Part.1
会計検査院は、平成29年11月22日、国会法第105条の規定による検査要請を受諾した下記の事項について、会計検査院法第3...



フォローする