森友学園問題 会計検査院報告書要旨版(全文)Part.5

会計検査院は、平成29年11月22日、国会法第105条の規定による検査要請を受諾した下記の事項について、会計検査院法第30条の3の規定により、検査の結果を報告した。

「学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果について」


【目次と当サイトでのページ分け】

1 検査の背景及び実施状況
2 検査の結果
(1) 大阪府豊中市の国有地の貸付及び売却の経緯
(2) 貸付価格及び売却価格並びに価格算定手続の適正性
(3) 当該国有地の貸付及び売却に関する行政文書の管理状況
3 検査の結果に対する所見

Part.1 → 1
Part.2 → 2のうち(1)
Part.3 → 2のうち(2)
Part.4 → 2のうち(3)
Part.5 → 3


学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果についての報告書(要旨)

平 成 2 9 年 1 1 月

会 計 検 査 院

3 検査の結果に対する所見

国民共有の貴重な資産である国有財産は、適正に管理及び処分を行う必要があり、国有地の売却等に当たっては、財政法(昭和22年法律第34号)第9条第1項等の規定の趣旨を踏まえ、定められた手続を適正に実施して公平性、競争性、透明性等を確保し、かつ、十分な説明責任を果たすことが求められている。

本件土地の売却等をめぐっては、国会で質疑が行われ、報道等も頻繁に行われており、国民の関心が極めて高いものとなっている。

今回、会計検査院が検査したところ、検査の結果に示したように、国有地の売却等に関し、合規性、経済性等の面から、必ずしも適切とは認められない事態や、より慎重な調査検討が必要であったと認められる事態等が見受けられた。

ついては、財務省及び国土交通省においては、今後の本件事案への対応に万全を期すとともに、次の点に留意するなどして、今後の国有財産の管理及び処分を一層適切に行っていくことが必要である。

(1) 大阪府豊中市の国有地の貸付及び売却の経緯について

財務省において、貸付要領の特例処理の申請に当たり、特例処理により定期借地とすることに伴い貸付料予定価格から公租公課相当額が控除されることを考慮していなかったり、その検証が十分に行われていなかったりする事態が見受けられた。このため、特例処理に当たっては、貸付料から公租公課相当額を控除することなど、特例処理の可否を判断する上で重要な要素を考慮した上で、十分に検証を行うこと

本件土地の処分等に当たり、近畿財務局と大阪航空局の間で、処分等の手続における責任の所在等が明確でない事態が見受けられた。このため、今後、国土交通省所管の普通財産を財務省へ依頼して処分する場合、財務省及び国土交通省において、処分等の手続における、契約、支払等に係る責任の所在等について明確にした上で実施すること

財務省において、延納代金の納付の確実性の検証に当たり、契約書等の根拠資料を十分に確認していないなどの事態が見受けられた。このため、公共随契による売払代金について延納を認めるに当たっては、延納代金の納付の確実性を検証するために、契約書等の必要な根拠資料を徴するなどして、十分に検証を行うこと

(2) 貸付価格及び売却価格並びに価格算定手続の適正性について

本件土地の貸付契約に係る有益費の確認及び支払に当たり、対策工事の内容が土地の価値を増加させるものとなっているかなどの確認が十分でなかったり、本件土地の価値の増加額の算定に係る検討が十分でなかったりなどしていて、国が森友学園へ返還する有益費の額が適切に算定されていない事態が認められた。このため、今後、有益費の支払が想定される場合は、支出負担行為を担当する省において、対象工事の内容及び金額について、十分な確認を行うとともに、資産の価値の増加額の妥当性について十分な検討を行うなどして、国として負担すべき有益費の額を適切に算定できるよう取り組むこと

地下埋設物の撤去・処分費用の算定に当たり、深度、混入率等について、十分な根拠が確認できないものとなっているなどの事態が見受けられた。このため、今後、財務省及び国土交通省において、地下埋設物の撤去・処分費用を算定する場合には必要な調査検討を行うとともに、算定に必要な作業時間を確保するなどして、地下埋設物の撤去・処分費用を適切に算定すること

財務省及び国土交通省において、国有地の売却に当たり、国有地を適正に評価するため、契約相手方側から提供された資料を用いる場合、その内容について必要な確認等を行うこと。また、財務省において、予定価格の決定に当たり、評価内容を明らかにした評価調書を確実に作成するよう指導を徹底するなどして評価事務の適正性の確保に一層留意すること

財務省において、29年1月の「未利用国有地等の管理処分方針について」(平成23年財理第2199号)改正の趣旨に沿って、公共随契において、見積合わせなどの相手方との間で価格に係る交渉を実施した上で、予定価格以上の価格による処分等価格の決定等を着実に行うとともに、財務局等においても、当該通達改正の趣旨を踏まえ、見積合わせなどの相手方との間で価格に係る交渉を適切に行うこと

(3) 当該国有地の貸付及び売却に関する行政文書の管理状況について

本件土地に係る決裁文書等の行政文書では、売却に至る森友学園側との具体的なやり取りなどの内容や、有益費の確認、支払等に関する責任の所在、地下埋設物の撤去・処分費用における本件処分費の単価の詳細な内容等が確認できず、会計経理の妥当性について検証を十分に行えない状況となっていた。このため、財務省及び国土交通省において、公文書管理委員会において議論されている行政文書ガイドラインの見直しの方向性についての内容等を踏まえ、国有地の売却等に関する会計経理の妥当性の検証が十分に行えるよう、必要な措置を講ずること

会計検査院としては、国有地について、売却等を通じて国の財政に貢献するとともに、地域や社会のニーズに対応した有効活用を図っていく必要があるとされていることから、その重要性に鑑み、今後とも、国有地の管理及び処分について、引き続き検査していくこととする。



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