【B型肝炎給付金訴訟】国の「除斥期間」の主張退ける 「再発時」を基準に賠償 ― 福岡地裁

発症時期を争う訴訟で初の原告勝訴

集団予防接種の注射器使い回しでB型肝炎ウイルスに感染した患者2人が国に損害賠償を求めた訴訟の判決が11日、福岡地裁であり、原告側主張を認める判決を言い渡した。

B型肝炎を巡っては、2006年に国の過失責任を認める判決が確定慢性肝炎なら1250万円を支給するなどの特別措置法が施行されたが、発症から20年が経過した場合は民法上の損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」が適用され、給付金が減額される

本訴訟の原告は、発症から20年以上が経過した福岡県内の50代と60代の患者2人で、一時治まった症状が再発。

和解協議では、除斥期間の起算点を最初の発症時とし、B型肝炎特別措置法に基づき300万円を提示された。

原告は、除斥期間の起算点を最初の発症時ではなく再発時とすべきだと主張し、慢性肝炎患者に対する和解金1250万円と同額の賠償を求めた。

和解協議は成立せずに終了。

これに対して、福岡地裁は、「質的に異なる新たな損害が生じた」として「再発時」を基準に賠償を受けられるとし、賠償請求権が20年で消滅する民法の「除斥期間」は適用されないとの判断を示した。

そして、国が2人にそれぞれ1250万円を支払うよう命じた。

B型肝炎 給付金

特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法は、裁判上の和解等が成立した者に対し、給付金等を支給する内容。

給付対象の認定は、裁判所において、救済要件に合致するかどうか、証拠に基づき確認することになり、給付金を受け取るためには、国を相手とする国家賠償請求訴訟を提起して、国との間で和解等を行う必要がある。

厚労省HP「B型肝炎訴訟について(救済対象の方に給付金をお支払いします)」http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/b-kanen/index.html

除斥期間とは

民法724条の解釈による。

第724条
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

不法行為の時から20年経過したときは,損害賠償を求めることができない(民法724条後段)。この20年の期間を除斥期間という。

加害者及び損害を知った時から3年経過した場合にも,損害賠償請求権は消滅するが、この期間制限は時効である。

消滅時効との違い

・除斥期間には、中断は認められない。

・除斥期間には、原則として、停止がない。

・除斥期間を経過している事実があれば、裁判所は当事者が援用しなくても、それを基礎に権利消滅を判断しなければならない。

・除斥期間は、権利発生時から期間が進行する(起算点)。※ 消滅時効は権利行使が可能となった時点から期間が進行する

・除斥期間には、遡及効が認められない。