日本版司法取引6月1日施行へ【捜査・訴追協力型が特徴】

日本版司法取引 6月1日施行

共同通信によると、政府は24日、司法取引を導入する改正刑事訴訟法の施行日を6月1日とする方針を固めた。https://this.kiji.is/328712607975654497?c=39546741839462401

捜査・訴追協力型

昨年6月3日、刑事訴訟法等の一部を改正する法律(改正法)が公布され、これによってわが国でも司法取引制度(刑訴法350条の2~15)と刑事免責制度(刑訴法157条の2)が導入されることとなった。

改正法によって導入されることとなった司法取引制度は、被疑者または被告人が、「他人の犯罪」の訴追等について、捜査機関に一定の協力をすることと引換えに、検察官が、公訴の不提起や軽い求刑をすることを約束する制度となる(刑訴法350条の2第1項)。

このように、日本版司法取引は、「他人の犯罪」について捜査機関に協力することによって見返りが得られるタイプのもの(いわゆる捜査・訴追協力型)のみが認められた点に特徴がある。

アメリカやイギリスで見られる司法取引(有罪答弁取引、不起訴合意、訴追延期合意)のように、被疑者等が、「自らの犯罪」を認める代わりに不起訴や減刑といった利益を得るというタイプのもの(いわゆる自己負罪型)が除かれている。

被疑者等に求められる捜査機関への「協力」の具体的内容

①捜査機関に対し「他人の犯罪」事実を明らかにする真実の供述をしたり、証拠物を提出したりすること
②「他人の刑事事件」の証人尋問で真実の供述をすることとされている(新刑訴法350条の2第1項1号)

刑事免責制度が対象とする犯罪

法律が定める一定の犯罪(「特定犯罪」と呼ばれる)に限定されている(新刑訴法350条の2第1項柱書)。
・不正競争防止法が定める外国公務員贈賄罪を含む汚職の罪
・犯罪収益等収受(マネーロンダリング)に関する罪
・詐欺、恐喝、横領等の財産に関する罪
・租税法違反の罪
・カルテルや談合等の独禁法違反の罪
・金融商品取引法違反の罪
・その他の財政経済関係犯罪として政令で定めるもの
経済刑法犯罪が広く含まれているだけでなく、企業が関係する経済刑法事案で問題となることの多い犯人蔵匿や証拠隠滅等に関する罪も対象とされている(同条2項各号)。

刑事免責制度

新たに刑事免責制度が導入される。

この制度は、①証人尋問によって得られた供述及び派生証拠は原則として証人に不利に用いることができず、かつ、②その証人尋問において自己負罪拒否特権をもって証言を拒絶できない、という条件の下で、証人尋問を行うというものであり(刑訴法157条の2第1項1号、2号)、検察官が裁判所に請求することにより、証人に刑事免責が付与されるものとされている(同項柱書、同条2項)。

刑訴法上、証人は証言することにより自らが刑事訴追されるおそれがある場合には証言を拒絶することができる(同法146条)が、刑事免責制度は、刑事免責を与えることと引換えに、証人に証言を強制する制度となる。



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